krazypixelの洋書感想文

僕が読んだ洋書の感想文を投稿していきます。

Lee H. Whittlesey著『Death in Yellowstone 』

こんにちは、krazypixelです。今日からこのブログで読書感想文を書いていきたいと思います。

記念すべき第1回目に取りあげるのは、Lee H. Whittleseyの『Death in Yellowstone』 です。この本は僕が新婚旅行で実際にイエローストーン国立公園を訪れた時に出会った本で、特別な思い入れがあります。その時の話は別の機会に譲るとして、今日は本書の内容そのものについて書きたいと思います。

この本は、アメリカで最初の国立公園であるイエローストーンで起こった死亡事故、自殺、そして殺人事件について、記録の許す限り詳細に書かれています。著者のWhittlesey氏は歴史家で、これまでにいくつかのイエローストーンに関する著作を記しており、Ken Burnsのドキュメンタリー映画にも出演しているそうです。

この本を読んで感動するのは、著者の文章力の高さです。センセーショナルな表現は控えつつ、ひとつひとつの事故がどのようにして起こったか、被害者はどんな人物だったのか、詳しく書かれています。このブログを書くために今本を読み返しているのですが、文章が分かりやすくて面白いので、なかなかページをめくる手を止められずブログの記事が進まない程です。

作者の徹底した取材能力も目をみはるものがあります。自身もイエローストーンでレンジャーを勤めたことのあるWhittlesey氏は、公園のスタッフのレポート、プレスリリース、事故当時の新聞記事や遺族のインタビューなど、使える資料を全て使って事故の全容を調べています。更に、2014年に出版された第2版では、読者から提供されたれやインターネットで見つけたりした情報が加筆されています。全ての事故を網羅しようという作者の情熱が伝わってきます。

Whittlesey氏は本の中で、「事故のほとんどは被害者の不注意からくるもの。この本が事故を防ぐのに少しでも役立てば」と書いています。ただ、彼は事故が無くなるとまでは考えていません。実際、初版から第2版までの間に、少なくとも60人の方が沸騰直前の温泉に落ちたり、熊に襲われたりして亡くなっています。僕がイエローストーンに滞在していた時も、流石に事故にまでは至らずとも、注意書きを無視して危険な行為に及ぶ観光客を何度も見ました。作者の指摘する通り、これからもこの公園から死亡事故がなくなることはないでしょう。

手付かずの自然はとても美しい。しかし手付かずであるが故に、舐めてかかると酷い目に合う。この本はその教訓を痛いほど再確認させてくれる、素晴らしい本だと思います。